プロローグ・ラビット誕生

 この話は新入生だったラビが「ラビット」という通り名で呼ばれるようになった経緯を簡単に書いた話である。

 4月である。新たな生活がスタートする季節。
 そんな季節にラビは入学後、とりあえず将棋部に入部したのだった・・・。
 ある日、ラビが同じ下宿仲間で悪友の海ちゃんと歩いていた時のことだった。
ラビ 「なあ、アマチュア無線部って学校の屋上に登れるんだって。いいと思わない?」
 突然、ラビはおかしなことを言い始めた。
 (屋上に上がってなにが楽しんだ?僕にはわからないなぁ・・・。) 
 と、海ちゃんは頭の中では思っていたが冗談半分で、
海ちゃん 「でも、おもしろいかもしれないよね~。」
 と、答えたのだった。
 このいい加減な答えがラビを破滅の道へと近づけたのかもしれない。
 その後、ラビはアマチュア無線部に入部した。
 海ちゃんは、
 (将棋部はどうした・・・?)
 と、内心思ったが、ラビは将棋部の存在を忘れたように無線部に入れ込みだした。
                              
 数日後、無線部の新入生歓迎会の時である。事件は起こった。
先輩 「君~!もっと飲まないとだめだよ!」
 先輩はラビにからんできたが、ラビは当時、酒が飲めなかったので、
ラビ 「遠慮しときますよ~。」
 と、避けていた。
 しかし、大食いの彼はとにかく食べ物が欲しかった。
 だが、目の前にあるのは酒とサラダのみ。
 (仕方ない サラダで我慢してやるか!)
 と、ラビは無造作にサラダをぼりぼりと食べ始めた。
 黙々とサラダばかり食べているラビをみた先輩が、
先輩 「何サラダばかり食べてんの。お前はウサギか?んじゃ、今日から
お前はラビットだ。なっ、ラビット。」
 こうして、ラビット物語が幕を開けたのである。


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